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よく耳にします言葉に「百年生きた木材で作った家具は、百年持つ」「木は生き物である」「木は呼吸している」といった語があります。
 私も長い間、木を扱ってきて、鉋(かんな)をかけた後の木肌にうっとりとし、桧や花梨・楠など独特の香りに、思わず深呼吸してしまいます。なにより、仕上げてみると「木」が醸し出す、なんとも形容しがたいやわらかさ・ぬくもりが、より以上の満足感を与えてくれます。
 ああ、やっぱり「木」はいい、「木」は生きている。
と思いますけど、じゃあ本当に「木は生きているの?」と聞かれて納得いく説明ができませんわね。
わたしらへそ曲がりですから、生きているなら「動いてみぃ」。呼吸しているなら「どこに口があるんじゃ」。やわらかさやぬくもりにも「殴られると痛いし、冷たいときもあるがな」なんてちんぷんかんぷんな事を思ったりします。(まあまあ笑わないで)
木工に携わっていて、こんな知識の無い事ではあきませんので、「木」についてすこし調べてみました。
○木は生きているの?
○木は呼吸しているの?
○木は温かいの?
○木はなぜ香るの?

※上記については
 飯島 泰男(北海道林産試験科長、農学博士)
 河村 文郎(森林総合研究所、農学博士)
 土居 修一(秋田木材高度加工研究所、農学博士)
 則元 京  (京都大学木質科学研究教授、農学博士)
 の方々の著書を参考にしました。
「木」を知識してみると、なぁ〜んだ単なる素材の一つなんだ。という事が分かってきます。
でもねぇ、木々は一面の緑を提供してくれたり、落葉する前には色鮮やかな紅葉の舞台を見せてくれるじゃぁありませんか。コブシの花が厳冬の終息を告げ、梅が咲きサクラが咲いて日本の四季が始まる。最近の環境問題に関連しても様々な恩恵を受けているんですよね。
また、木を創造のための一つの素材と考えた場合、この死んでしまった細胞の集合体は、すばらしい力を持っているのです。同重量なら鉄よりも強度があり、対熱変形ならプラスチックの比ではないし、廃棄しても有害物質の発生がない。手で触れた柔らかい感触や、見た目や存在の優しさ、物を置いたときの心地よい音と、ここまで揃った素材は他に類を見ないんですよ。
なにより人に一番近いところに適応した、すばらしい素材なのです。
ともあれ、木材は天然の素材です。生物体に由来する材料だからこそ、「生き物」のように扱われるのでしょう。
 また、木は古来から人と交わり、身近で向き合ってもきました。そんな「木」の第二の人生、「新しい旅立ち」のために、できる限り無駄なく丁寧に、末永く愛され、利用していただける作品を作り続けなければならないと、改めて思う次第です。

☆アトリエ「遊木香」☆__ログハウス・木工品制作工房。セルフのハンドカット・ログハウスビルドと、家具製作の「体験」ノウハウの提供をしています。